10年ごしの時間旅行(小説)

子どものころ両親の仕事の都合で転校を経験した少女の物語。「カテゴリー:プロローグ」からお読みください。

155- エピローグ


彼女の転職後、彼女がどこでどうしているのか、ぼくは知らない。


わかっていた。最初から。
きみが探し求めているものは、僕はどうしたって届けられない。

どうしたって手に入らない。

それでも彼女は、そんな思いを胸の奥に抱えながらも、
何もなかったかのように、今日もこの青い空の下、どこかで生きている。