10- 一冊のノート
きみは、今のこの仕事場を離れ、新しい職場へ行くことになった。
ぼくたち何人かの同僚は、引っ越しの手伝いのためきみの家に行くことになった。
きみの家の書斎には、段ボールがたくさん積まれている。
机の上では、積み上げられていた本が崩れて階段のようになっている。
きみがどんなものに興味があるのか、ぼくは知りたいと思った。
きみのことを、もっと深く知りたい。
どんな人生を送ってきたの?どんなことを考えて行動しているの?何を大切にして人と接しているの?
きみのことを、もっと深く知るチャンスだ。
本棚を見ると、何冊か本を抜いて段ボールに詰めたのだろう、隙間ができて、本が横向きに倒れている。
そんな本棚の中に、白い一冊のノートを見つけた。
表紙にはタイトルも何も書かれていない。
日記か何かかな?
ぼくは最初の1ページをめくる。