10年ごしの時間旅行(小説)

子どものころ両親の仕事の都合で転校を経験した少女の物語。「カテゴリー:プロローグ」からお読みください。

138- さみしいという感覚を取り戻した時に


さみしいという感覚を思い出した頃には、もう遅い。
人と繋がっていたい。
温かさに触れたい。
でも、一人で生きた時間が長すぎて、どうしていいのかわからない。
人肌が恋しい。
キューっとなる。
でも、これまでそんなに深い関係性になるのをずっと避けてきたから、周りにそんな人がいない。
さみしい。
ずっとさみしかった。孤独だった。
人と一緒にいたい。
これまでの16年間はいったい何だったんだろう。
なんで16年もの間、一人で苦しんで生きてくるのに、16年もの時間を捧げてしまったんだろう。