10年ごしの時間旅行(小説)

子どものころ両親の仕事の都合で転校を経験した少女の物語。「カテゴリー:プロローグ」からお読みください。

123- 一人で生きるのをやめたい



もう、一人で生きるのはやめたい。
でも、やめ方がわからない。
なんてったって、13歳の頃からずっと一人で生きてきてしまっているのだから。
誰かと生きる生き方のやり方がわからない。

頼れない。甘えられない。誰にも。
だって頼ったら、
それでややこしくなるのなら、誰にも頼らない方がいい。
一人で生きた方がいい。
一人になっても大丈夫なように。
誰も傷つけないように。
一人で生きていかなきゃ。


だって、誰も助けてくれなかった。
救いの手が差し伸べられることなんてなかった。
だから、新しい場所へ行ったって、救いの手が差し伸べられるとは限らない。

一人でお金を稼いで、一人で生きられるようになったら、住む場所だってどこでもいい。
大好きな友だちと、離ればなれにならなくて済むんだ。
一人で生きられるようになったら、誰も困らせずに、誰も傷つけずに、暮らしていけるんだ。

そう信じて、生きてきたから。