10年ごしの時間旅行(小説)

子どものころ両親の仕事の都合で転校を経験した少女の物語。「カテゴリー:プロローグ」からお読みください。

73- 頼むから、私から逃げて


自分が言ったことで、傷つく人がいるのなら。
私は何も言わなくていい。
もう、いい。

家族に対する罪悪感に苛まれる日々。
自分を殺したいと思った。心の底から。
憎しみ以外の何の感情も湧かない。
自分なんていなくなったらいい。
自分が憎い。
自分を殺したい。

だれかに何か優しくしてもらったり、良いことをしてもらうと、こんな自分のためにって、悪魔なのにって、半端じゃない罪悪感に苛まれた。

声かけてきてくれる人、こんなのと仲良くしない方がいい。
申し訳ない。声かけてもらうのが。
仲良くしてもらうなんて罪悪感だ。
それにもう、私は人を信じられない。

私はもう自分が生きていると周りの人を不幸にさせるんだと悟った。
自分が、本当に思っていることを話して、それで周りの人を傷つけるのなら。
自分を封印してしまえ。