10年ごしの時間旅行(小説)

子どものころ両親の仕事の都合で転校を経験した少女の物語。「カテゴリー:プロローグ」からお読みください。

66- 年賀状



年賀状の季節が辛い。

毎年、小学校の同級生たちに年賀状を書くように親から言われるけれど、
悩んで悩んで、徐々に書けなくなっていった。

だって、年賀状が届くたび、みんなと離れてからの時間の経過が感じられる。
お互いに、共有しない時間が増えて、どんどん知らない人になっていく。それが…悲しい。

こんな文化、なくなってしまえばいい。