10年ごしの時間旅行(小説)

子どものころ両親の仕事の都合で転校を経験した少女の物語。「カテゴリー:プロローグ」からお読みください。

70- 誰かと一緒に



私は小学生の頃、さみしい思いをしたことがない。
ずっと誰かと一緒だった。

運動会のお弁当も、
夏休みのキャンプも、
修学旅行で家族が迎えに来る時も、
友だち家族と一緒だった。
ずっと誰かと一緒だった。
どこに行っても、何をしてても。
誰かがいた。

そんな私が、一人になった。