10年ごしの時間旅行(小説)

子どものころ両親の仕事の都合で転校を経験した少女の物語。「カテゴリー:プロローグ」からお読みください。

35- クラスの裏切りあい


中学生で友人となると、小学生に特有の幼なじみの感じではなく、社会的な友人となる。


新しい街の、新しい学校の排他的な雰囲気にプラスして、中学生特有の尖っていて不安定な要素が加わる。
グループ内での裏切り合いが激しかった。クラス内のどのグループもそう。
今日まで仲良く笑い合っていた友だちは、明日から一切目も合わせなくなるのだ。
昨日までグループ内、いやクラス内で誰に話しかけても全部無視をされていたAさん。
ほんの少しのきっかけでAさんがグループ内で受け入れられ、Aさんに替わり無視されるようになるのはBさん。
これが、4月に転入した初日からずっと見ていた光景。

あれほど自分を信頼してくれていた人を、どうしてそんなに簡単に裏切れるの?

相手の信頼と期待なんて簡単に捨てて、裏切ってしまう。昨日の友は今日の敵。

なんで?幼い頃からずっと一緒に過ごしてきたんでしょ?

あなたの友だちは、あんなにつらそうな顔をしているのに。

どうして裏切るの?



誰を信じていいかわからない。誰がどんな人かまったくわからない。いい人なのか、関わらない方がいい人なのか、まったく情報がない。
いざという時に、助けてくれる人もいない。
小学校からの友人がいない私は、誰が味方になってくれるのというのだろう?

みんなは、たとえ今目の前にいる人たちとうまくやれなかったとしても、いざとなったら小学校の時からの仲間がいる。


同じクラスがダメだったとしても、となりのクラスに行けば、小学生からの仲間がいるんだ。最後の砦、味方になってくれる人がいる。

でも私には、小学校からの友人がいない。

いざという時、誰が私の味方になってくれるの?私は一人だ。

誰を信じたらいいの?