10年ごしの時間旅行(小説)

子どものころ両親の仕事の都合で転校を経験した少女の物語。「カテゴリー:プロローグ」からお読みください。

36- 中学生女子


新しい街の、新しい学校の排他的な雰囲気と、中学生の不安定さと、そこに中学女子特有の陰湿さがプラスされる。
3人グループでいれば、いずれ1人対2人に分かれ、
誰か1人が誰かを無視し始めると、それがクラス全体に広がり、
一度でも無視されたことがあるなど傷がつくと、ずっとそのうわさ話がなされ、
部活で仲間はずれにされると、クラスにも持ち込まれる。

それでも、それでもたとえ同じクラスに味方がいなくても、同じ部活に味方がいなくても、学校のどこかにはおそらく小学校の時からの仲間がいるのだ。

隣のクラスかもしれないし、別の部活かもしれないし、習い事かもしれないし、家が近所かもしれないし。味方がいるのだ、少なくても1人は。
でも、でも、引っ越してきた私には、その仲間がいない。一人として。

隣のクラスは知らない顔だらけだし、別の部活も全て初めましての人たち、習い事だって一から関係を作っていく必要があるし、近所に誰が住んでいるかなんてわからない、道だってままらなないのに。