10年ごしの時間旅行(小説)

子どものころ両親の仕事の都合で転校を経験した少女の物語。「カテゴリー:プロローグ」からお読みください。

77- ストレスで音に過敏


夜、世界は寝静まった頃、
どこからか響く音やフローリングが軋むような些細な音に、ハッと起き上がる。
玄関の鍵が閉まっているのを確認した。
部屋のドアが開かないように手で押さえながら、床に這いつくばってドアの下の隙間から覗いて誰もいないことを確認する。何も入って来られないよう、ぎゅっとドアを押さえたまま。小さく震えたまま。

物音におびえる日々が続いた。
些細な音がするたび、睡眠は中断された。