94- 後悔
あの日に戻って、ありがとうとごめんねと大好きを言いたい。
何も言わずに出てきてしまったこと。
伝えられなかった、本当の思い。
みんなが大好きだったから。
悲しい空気にさせたくなかったから。
信じたくなかったから。
友だちに、習い事の先生に、友だちのお母さんお父さんに、
小さい時から、たくさん愛を注いでくれた人々に、
ちゃんとさようならを言えばよかった。
何も言わずに出て来なければよかった。
なんで何も言わずに出てきてしまったのか。
あれだけ可愛がってもらって、大切にしてもらって。
自分にとってどうしようもないほど大切な人たちなのに。大好きなのに。
死ぬほど後悔した。
文字通り死ぬほどの後悔だった。