10年ごしの時間旅行(小説)

子どものころ両親の仕事の都合で転校を経験した少女の物語。「カテゴリー:プロローグ」からお読みください。

38- 帰りたい


帰りたい。
帰りたい。帰りたい。

みんながいる世界に帰りたい。
温かいみんながいる世界に帰りたい。


そんなこと現実的にできないと、子どもながらにわかっていた。
それでも、
授業中も、休み時間も、お弁当の時間も、帰りの会の時間も、どの瞬間も、
”帰りたい”で満たされていた。
苦しくて、苦しくて、息ができない。

帰りたい。帰りたい。
みんなに会いたい。