10年ごしの時間旅行(小説)

子どものころ両親の仕事の都合で転校を経験した少女の物語。「カテゴリー:プロローグ」からお読みください。

146- 十数年経ってもそれでもまだ…


どうして私は、こんなにも引きずっているの?
もう16年も経つのに、どうして?
喉から手が出るほど触れたくても、もう戻らないんだ。

転校というよくある話で、
なぜ自分はここまで敏感に繊細に感じ取って、深くトラウマになったのか?
もっと鈍感だったら、世の中の何事に対してももっと鈍感だったら、
家族を傷つけずに済んだかもしれないのに。
家族の夢を、しあわせな時間を、壊さずに済んだかもしれなかったのに。

なぜこんなに、あの時の影響を受けているの?