96- ふつうの夢にうなされて
中学・高校の6年間は、帰りたいと思わない日はなかったけれど、帰りたいと思わない瞬間はなかったけれど、
大人になってからは、帰りたいと思ったり、もといた街での暮らしに思いを馳せたり、そのようなことはなくなっていた。
日々急がしさに追われ、目の前のことだけを考える普通の日々を過ごしていた。
それでも、夜眠る時、いまだに夢に出てくる登場人物はなぜか、
小学校の同級生なんだ。
出てくる景色はなぜか、あの街なんだ。
中学・高校・大学の同級生は、夢に出てきたことがない。
一度も。