10年ごしの時間旅行(小説)

子どものころ両親の仕事の都合で転校を経験した少女の物語。「カテゴリー:プロローグ」からお読みください。

108- 一人で生きていかなくては



誰も傷つけないために、
そして自分も傷つかないために、
一人で生きていけるようにならなくては。

困ったことがあっても、
自分で調べて解決できるように知識をつけ、
サービスに頼れるように収入を得て、
武装した。
周りに誰もいなくても、一人で生きていけるように。


新しい環境が合わなかった時に、一人で生きていければ、自分だけ出ていくことができたのだ。
そうすれば、誰も傷つけずに済んだのだ。

だからもう、誰も傷つけないために、一人で生きていけるようになる必要があったんだ。