10年ごしの時間旅行(小説)

子どものころ両親の仕事の都合で転校を経験した少女の物語。「カテゴリー:プロローグ」からお読みください。

49- 転校先で生きていくには



本当に、本当に一人なのだ。
だから、今いるクラス、部活、今目の前にあるコミュニティーで、
たとえ自分の心が死んでも表面は上手くやっているように見せるしかないのだ。

そうしないと、ダメな烙印を押されて、人脈が広がっていかない。

だって、本当は属することを望んでいなくたって、今いるコミュニティーを抜けられないんだ。

大人とちがって、引っ越しとか転職、とはいかないのだ。義務教育だから。



コミュニティからはみ出さないように、常に神経を尖らせ、自分の気持ちなんて殺して、
そうして過ごした3年間、いや6年間だった。

そんな数年を過ごしているうちに、いろんな感覚が麻痺してしまう。